インド最初期仏教 覚え書き 備忘録

現上座仏教教団(スリランカ タイ ミャンマー等)が保持するパーリ語経典からの引用を中心にした仏教紹介。

「人間が得る欲の危難(障害、煩わしさ)とは何か?」『庶民は戦争に巻き込まれ、徴兵され、死ぬほどの苦しみに遭う可能性あり。』 四聖諦を理解するために。「苦Dukkhaドゥッカ」の意味とは?大苦蘊経 PART5[次第説法38 欲の欠点、危難]

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前回の続きです。
人間が生活をし、時に余暇を楽しむために(=人間が持つ眼、耳、鼻、舌、身という感覚器官から喜びを得るために)は、煩わしいリスクを同時に受けなければならないという事の考察が続きます。


パーリ語仏典 中部経典第13 大苦蘊経(mahaa dukkha khanda sutta)片山一良訳 大蔵出版 P239から引用

 

さらにまた、比丘たちよ、欲を因とし、欲を基とし、欲を根拠として、すなわち
、もろもろの欲を因として、
刀と盾を持ち、弓と箙(えびら)を結ぶと、矢が飛びかう中、槍が飛びかう中、白刃が閃く中、両軍の密集した戦場に入って行きます。そこでかれらは矢で射たり、槍で刺したり、刀で首を切ったりします。

 

かれらはそこで、死に至り、死ぬほどの苦しみにも至ります。

 

比丘たちよ、これもまた、もろもろの欲の危難です。現に見られる、苦(dukkhaドゥッカ)の集まりであり、欲を因とし、欲を基とし、欲を根拠とするもの、すなわち、もろもろの欲を因(原因)とするものです。

 

さらにまた、比丘たちよ、欲を因とし、欲を基とし、欲を根拠として、すなわち、もろもろの欲を因として、

 

刀と盾を持ち、弓と箙(えびら)を結ぶと、矢が飛びかう中、槍が飛びかう中、白刃が閃く中、よく塗られた城壁に入って行きます。
そこで、かれらは矢で射たり、槍で刺したり、牛糞を注いだり、落とし格子で押し潰したり、刀で首を切ったりします。

 

 かれらはそこで死に至り、死ぬほどの苦しみにも至ります

 

比丘たちよ、これもまた、もろもろの欲の危難です。現に見られる、苦(dukkhaドゥッカ)の集まりであり、欲を因とし、欲を基とし、欲を根拠とするもの、すなわち、もろもろの欲を因(原因)とするものです」
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人間が生活をし、時に余暇を楽しむために(=人間が持つ眼、耳、鼻、舌、身という感覚器官から喜びを得るために)は基本的にその国なり民族に属し、徴兵を免れることは出来ず、特に男性は戦場に駆り出され、死に至り、死ぬほどの苦しみにも至るというリスクもまた基本的に避けられないという事のようです。

 

次回も欲の危難(障害、煩わしさ)の話が続きます。