インド最初期仏教 覚え書き 備忘録

現上座仏教教団(スリランカ タイ ミャンマー等)が保持するパーリ語経典からの引用を中心にした仏教紹介。

【超重要】サーリプッタ尊者が説く「初めての方のための仏教の学び方」これだけ理解すればまず仏教は十分。PART1 導入編[次第説法30 欲の欠点、危難⑤ 離欲の利点、功徳③]

shonannokaze2023.hatenablog.com

一方に坐ったポッカラサーティ・バラモンに、世尊は、順々の話[次第説法]をされた。
すなわち、布施の話、戒の話、天の話、もろもろの欲望における危難、卑劣・汚れを、離欲における功徳を説明された。


世尊は、ポッカラサーティ・バラモンが従順な心になり、柔和な心になり、
障りのない心になり、向上する心になり、浄らかな心になったことをお知りになると
もろもろの仏が自ら称賛する法の教えをすなわち、
苦・集・滅・道 [苦 ・苦の生起・苦の滅尽・苦の滅尽にいたる行道という四聖諦]を説き示された。
すると、ちょうど染みのない清浄な布が完全に染料を受けとるように、
ポッカラサーティ・パラモンには、即座に、
「生じる性質のものはすべて滅する性質のものである」という、
塵を離れ垢を離れた法の眼(預流道)が生じた。 

 

今回ももろもろの欲望における危難、卑劣・汚れを、離欲における功徳について御紹介していきたいと思います。

 

それと同時に、初めて仏教に触れる方に、「どう仏教を紹介し、学んでいくのか?」をサーリプッタ尊者が、比丘たちに教える経典になります。

現代人の誰でも、仏教に初めて触れる方でも難なく、インド初期仏教の教えの構造が理解できるものと思われます。

 

↓ こちらのゴータマ・ブッダが説いた悩み苦しみの根本的原因とその解決法の、サーリプッタ尊者によるまとめとなっています。今回はその導入部分のご紹介です。(前振り部分。)

【決定版】ブッダが説く、悩み、苦しみの根本的原因とその解決法とは?PART 1[次第説法28 欲の欠点、危難③ 離欲の利点、功徳①] - インド最初期仏教 覚え書き 備忘録

【決定版】ブッダが説く、悩み、苦しみの根本的原因とその解決法とは?PART2[次第説法29 欲の欠点、危難④ 離欲の利点、功徳②] - インド最初期仏教 覚え書き 備忘録

 

デーヴァダハ経 (Devadaha-sutta)相応部経典5 蘊(うん)相応  ナクラピターの章 片山一良訳 大蔵出版 P46~ から引用

 

このように私は聞いたー
あるとき、世尊は、サッカ国に住んでおられ、そこにデーヴァダ
という釈迦族の町があった。


さて、多くの西部に向かう比丘たちは、世尊がおられるところへ
近づいて行った。行って、世尊を礼拝し、一方に坐った。 一方に坐った
その比丘たちは、世尊にこう申し上げた。


「尊師よ、私どもは西部の地方へ行き、西部の地方で住処を準備したいと思います」と。


「比丘たちよ、しかし、そなたたちはサーリプッタに許可を受けていますか」と。


「いいえ、尊師よ、私どもはサーリプッタ尊者に許可を受けておりません」と。

 

「比丘たちよ、サーリプッタに許可を受けなさい。比丘たちよ、サーリプッタは賢者です。 同行者である比丘たちの摂受者(導くもの:引用者注)です」と。


「かしこまりました、尊師よ」
と、その比丘たちは世尊に答えた。

 

ちょうどそのとき、尊者サーリプッタは、世尊からほど遠くない、あるエーラガラーの灌木に坐っていた。
さて、その比丘たちは世尊が説かれたことに歓喜し、喜びを示し座から立ち上がった。

 

そして、世尊を礼拝し、右回りをして、尊者サーリプッタがいるところへ近づいて行った。行って、尊者サーリブッタと喜びの挨拶を交わし、喜ばしい印象に残る話を取り交わすと、一方に坐った。

 

一方に坐ったその比丘たちは、尊者サーリプッタにこう言った。

 

「友、 サーリプッタよ、私たちは西部の地方へ行き、西部の地方で住処を準備したいと思います。師から私たちは許可を受けております」と。

 

「友らよ、種々の国に行った比丘に質問をする者たちがいます。王族の賢者たちもいます。 バラモンの賢者たちもいます。 資産家の賢者たちもいます。 沙門の賢者たちもいます。

 

友らよ、賢い人間たちは考察するものです。 

 

『いったい尊者方の師(ブッダ)は何を説き、何を語られるのか』と。

 

はたして、あなたたち尊者には、諸法がよく聞かれ、よく把握され、よく思惟され、よく理解され、慧によってよく洞察されているのかどうかです。

 

尊者たちは、どのように解答すれば、世尊が説かれたことを説く者になるのでしょうか。
また、世尊を不実によって非難することにならないのでしょうか。
また、法の随法を解答することになるのでしょうか。
また、いかなる如法の、種々の主張も、非難を受ける根拠にならないのでしょうか」と。

 

「友よ、私たちが遠くからでもやって参りますのは、サーリプッタ尊者のもとで、この説かれたことの意味を知りたいからでございます。
どうか、サーリプッタ尊者は、この説かれたことの意味を明らかにしてくださいますように」。

「それでは、友らよ、聞き、よく考えなさい。 語ることにしましょう」と。


「わかりました、尊者よ」と、その比丘たちは尊者サーリプッタに答えた。

 

PART 2へ続く。~