釈尊在世当時のインドでの、在家、一般人の仏教の学び方について別の書籍から引用しての考察です。
(在家仏教の研究 浪花宣明(註) P7から引用)
「原始経典では出家者に対する教説と在家者に対する教説が区別されていたことは確かである。
『中部経典』一四三経によると、アナータピンディカ長者が重病にかかった時、サーリプッタに説法を求めた。
長者はこの説法を喜び、サーリブッタに、「今までこのような説法を聞いたことがなかった。 どうして今まで私にこ のような説法を説いてくれなかったのか」とたずねる。
これに対してサーリプッタは、「これは出家者のために説く教説であり、 在家者には通常説かない」と答えている。
これによれば、出家者のための教説と在家者のためのそれとが区別されていたことが知られるが、
それと同時にその区別が必ずしも厳格に守られていたのでないことも知られる。
出家者に対する教説が在家者に対して説かれる例は他にも見ることができる。
『相応部経典』 四一の九 (S.IV. 301) では質多 (Citta) 居士が四禅を修したことが記されており、
また『相応部経典』一二の四一 (S. II. 69-70.) では世尊はアナータビンディカ長者に対し、
四預流支(✽1)を具足し、慧によって聖法を見る者は預流者であると言い、
彼に「これあるとき彼あり、此なきとき彼なし」という縁起を説き、
さらに無明から始まる十二縁起を型のとおりに説いている。」
四預流支(✽1)(仏教辞典パユットー著 野中耕一編訳)
四預流支 (Sotāpattiyanga factors of Stream-Entry) 預流を成就する功徳を支える備支。
預流の僧とする資質、
預流の僧の資質
代表例の一つとして
1. 仏における揺るぎのない浄信 (unshakable condidence in the Budddha)
2. 法における揺るぎのない浄信 (unshakable condidence in the Dhamma)
3. 僧伽における揺るぎのない浄信 (unshakable condidence in the Sangha)
4. 聖所愛の戒
(Ariyakanta-sila: unblemished morality) 聖者の愛し満足する戒で、清浄で渇愛と見に汚されず支配されず、 定のためにあるもの。
(南伝大蔵経 第16巻下相応部大篇 224-5)
(註)